六華だより

和田前副会長 退任ご挨拶〜晴天のヘキレキだった大役

第96号

六華同窓会 前副会長
役員選考委員長

和田由美(南18期)


 あれは10年ほど前のことだったろうか。当時、幹事長だった現副会長の秋山孝二さん(南19期)と大先輩で役員選考委員長の山本晋也さん(中53期)に、ホテルオークラ札幌のロビーへ呼び出されたのは……。
何の話か見当もつかない私に向かってお二人は、なんと「六華同窓会で初めての女性役員、副会長に就任して欲しい」と切り出したのである。新聞や雑誌にエッセーを書き散らしながら吹けば飛ぶような小さい出版社を営み、ようやく創立20周年を迎えたばかりの私に、これはまさしく晴天のヘキレキだった。

 しかも、私は高校1年で大病を患い、授業についていけなくて数学を捨てた落ちこぼれ。余りにテストの成績が悪いので卒業も危うく、数学の天才と呼ばれた同級生に図書館で100問の答えを教えてもらい、ひたすら暗記して80点を獲得。やっと2の成績で卒業した劣等生である。ましてや18期は小学区制の最後で、この期さえ卒業すれば全札幌の秀才が集まる大学区制に移行できると喜ばれた世代。それだけに私も相当に抵抗したが、温厚そうな秋山さんの予想を超える粘り腰と山本大先輩の100万ドルともいえる優しい笑顔にほだされ、遂に屈服したのである。

 それからが苦難の連続と言いたいところだが、好奇心旺盛な私にとっては面白い経験も多かった。冊子『南高学校林100年の歩み』編集のお手伝いをして、在学時代に炎天下で草刈り作業をさせられた意味がようやく分かったこと。会長の代理で参席した卒業式で、在校生たちのパフォーマンスの凄さに驚きつつ、定時制の学生たちが合唱する「蛍の光」にもらい泣きしてしまったこと。いつも六華同窓会前に行われる総会後、先輩や後輩の垣根を越えて居酒屋で楽しくお酒を酌み交わしたことなどが、懐かしく思い出される。

 そして「六華同窓会2019 六華SWITCH」終了後の昨年11月、実行委員長の池田望さん(44期)と臨床士として活躍中の向井裕加さん(44期)が、私のオフィスに挨拶のため訪れてくれた。しかも副会長を引退したばかりの私に、美しい花束をプレゼントしてくれたのだ。本当に嬉しかった。

 それだけに、数年前から構想してきた「六華女性の会」(仮称)を実現する決意を新たにしたものだ。私と同時期に副幹事長に就任した現副会長の林美香子さん(22期)と一緒に立ち上げ、第1回の会合を2月上旬に行う予定である。運営メンバーも精鋭がそろい、いずれご報告したいと思う。

 ともあれ、未熟な私を温かく見守って下さった先輩諸氏や後輩たちに心から感謝しています。また、いつかでどこかでお会いしましょう。


プロフィール、
◆1949年、小樽生まれの倶知安育ち。出版「亜璃西社」代表、エッセイスト。著書に『さっぽろ喫茶店グラフィティー』『さっぽろ狸小路グラフィティー』など多数。