六華だより

【フジロック’21 ステージから奏でる希望1】音楽が鳴らされる場を絶やさない

第100号

勝井 祐二(南34期) 

2020年のフジロックフェスティバルはコロナ初年度のインパクトで開催する事が出来ませんでした。昨年2021年は何とか開催をという多くの音楽ファン、毎年苗場の会場にリピートする人達、スタッフや関係者の方々の希望と、開催を強く望んで協力してくれた開催地地元の皆様の強い思いを受けて、海外からのアーティストは呼ぶ事は出来無かったのですが今までに無い厳重な感染症対策が取られて、無事開催されました。

昨年は自分のグループROVOでの出演も有ったのですが、その翌日にも同窓43期の青木篤君に誘われて彼のグループを中心としたメンバーでのセッションライブに参加する事が出来ました。こういった厳しい局面での演奏でしたが、たくさんの人が盛り上がって聞きに来てくれたのは嬉しかったです。

フジロックフェスティバルには2000年にROVOでフィールドオブヘヴンに初出演してから、ソロやいろいろな人達と40回以上フジロックのステージで演奏してきました。様々なライブも観ましたし、いろいろな経験をして来ました。それでもまだまだ知らない事は沢山ありますし、フジロックが新しい場所やコンセプトの内容の進化をし続けているので、いつも新たな発見と感動があります。もちろん毎年苗場で再会する仲間も沢山います。フジロックはいわば一年に一度苗場に出現する新しい出会いと再会を激しく繰り返す「大きな村」というか、常に進化している大きなお祭りです。

僕はエレクトリックバイオリンという楽器を弾いているのですが、バンドにバイオリンというのは少し珍しい少数派の楽器なので、海外から来るバンドにバイオリンが入っていると観に行ったり、逆に海外からのバンドのバイオリン野郎が観に来てくれたりして「あの国のフェスは最高だぞ!」なんて情報交換したりする事が有ったりして楽しいです。

思い出深いライブは幾つも有りますが、2014年に僕が子供の頃から聞き続けてきたGONG~System 7のギタリストSteve Hillageとデュオで、ピラミッドガーデンで演奏したライブは僕の人生の宝物です。

今年もまだ厳しい状況が続いていますが、音楽と音楽の鳴らされる場所が絶えるような事がないように、自分達の出来る事を考えて頑張っていこうと思っています。

写真は上から3枚目まではROVO主催の日比谷野外音楽堂で、4枚目はフジロックフェスティバル ピラミッドガーデンで撮影

勝井 祐二(かつい ゆうじ)
音楽家/ヴァイオリニスト

エレクトリック・ヴァイオリンの表現の可能性を追求し続ける第一人者。
1996年 山本精一と「ROVO」結成。バンド編成のダンスミュージックでフジロックフェスティバルを始めとする数多くのフェスティバルに参加してきた。