六華だより

全部全部コロナが悪い!

第97号

札幌南高校2年 生徒会長
山本舞羽(まう)

 「コロナのせいだ。」「全部コロナが悪い!」学校再開から数か月、何度この言葉を耳にし、そして口にしただろうか。学校祭をはじめとした生徒会行事はことごとく中止、休校期間の遅れを取り戻すため勉強勉強の毎日。一言でいうと、退屈だ。それもものすごく。

 一執行委員として私は本当に新型コロナウィルスが憎たらしい。球技大会や南高祭、対面式に壮行会。自分たちの手で運営できるはずだったものは全て中止になった。そして私たち2年生は大きな仕事をできないままもうすぐ引退を迎えることになる。こんなのあんまりだ。昨年の秋からずっと南高祭運営について話し合ってきたのに、南高祭第70回記念行事だって計画していたのに、冬休みに一人で登校して冬季球技大会のシフトを作ったのに。全部が水の泡になった。

 きっと生徒会行事を全校生徒の中で一番楽しみにしていたのは私たち執行委員会だ。だからこそ、やりきれない気持ちでいっぱいだった。ぶつけどころのない怒りがふつふつと沸いて、言葉を紡ぐことなくため息になって出ていった。

 だからモザイクアートを企画した。125周年記念のため、伝統を絶やさないため、全校生徒にはそう説明したが、「何か1つでいいから私たちの執行委員会としての活動を形に残したい」そんな切実な願いが発案のきっかけだった。完成したモザイクアートは想像よりも小さかった。きっとそれはモザイクアートにかける思いが強かったから。毎朝登校時に眺めては誰にも聞こえない程度の声で「おはよう」と声をかけてしまう程に愛着が湧いていた。

 「出来ない事にばかり目を向けるのではなく、その中でもできることを新しく見つけよう」、と半ば諦めに近い決心をしたのもまたモザイクアートを眺めていた時だった。

 きっと私と似たような決心をした生徒は少なくないだろう。大切な大会がなくなってしまったり、部活動の最大の舞台ともいえる学校祭でのパフォーマンスができなくなってしまったり、、、。分野は違えども多くの人がやりきれない思いを抱え、怒りになって、それもいつしか諦めになって「コロナのせいだ。」と冗談めかして言っているのだ。

 コロナよ、全部君のせいだ。南高祭がなくなったのも、部活動の大会がなくなったのも、この前の数学の小テストの点が低かったのも。え?最後は私の努力不足だって?そんなのわかってるさ。だけど今は上手くいかない事は全て君のせいにしてやる!「全部全部コロナが悪い!」


8月17日(月)~28日(金)、校舎壁面に全校生徒の手による「モザイクアート」が展示されました。学校祭や遠足、球技大会など生徒主体の行事が中止になっていくなかで、生徒自らが企画・運営し、作り上げたものです。一人ひとりがA4の紙を塗りつぶし、執行部全員で1008枚をつなぎ合わせて完成させました。
原画制作にあたったのは、美術部の大坪咲葉(さよ)(2年生)さんです。

「みんながそれぞれの目標に向かって頑張る姿を、無数の渡り鳥が南十字星の方へ飛んでいくという形で表現しました。また、開校125周年ですので、札南の校章を入れました。」