六華だより

科学の甲子園

第108号

札幌南高校 科学部 
部長 永井悠聖

 はじめまして、科学部です。この度、令和7年度科学の甲子園北海道大会で優勝を勝ち取り、3月につくば市で行われる第15回科学の甲子園全国大会への出場を果たしました。今回、記事を寄稿する機会をいただきましたので、私たちのこの大会に対する思いや経験を綴らせていただきたいと思います。

 まずは、この科学の甲子園という大会について紹介します。科学の甲子園は、高等学校等の生徒チームを対象として、理科・数学・情報における複数分野の競技を行う大会です。全国の科学好きな高校生が集い、活躍できる場を構築することを目的として、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)によって開催されています。全国大会では1チーム6〜8人で筆記競技と実技競技の両方の成績で争いますが、北海道予選では筆記競技のみ、北海道決勝では実技競技と総合競技に、1チーム最大6人で取り組みます。

 10月26日の北海道予選では、全道から参加した21校44チームの高校1・2年生260名と筆記競技で成績を競いました。本校からは1年生2チームと2年生1チームが出場し、会場であった札幌西高校に足を延ばして1時間半くらい筆記競技の歯ごたえを楽しみました。なんとも折の悪いことに2年生の修学旅行と北海道予選の日程が丸被りしており、2年生チームの各々は長崎での2泊を犠牲として今回の科学の甲子園に参加しています。科学の甲子園における筆記競技の問題は、普段受験勉強に追われている私たち札南生には目新しい形式のものです。全部で6大問(全国大会では12大問)、分野横断的で躍動感のある設問が揃っています。大問に教科は明確には記載されておらず、各教科を担当するメンバーが「自分のステージはここっぽいな」と空気を読んで解答に取り掛かります。事前の努力の成果もあり、札幌南高校からは1・2年生の各1チームが北海道決勝に進出しました。

 11月29日の北海道決勝には、北海道予選を勝ち上がった12チームが参加しました。北海道決勝では実技競技と総合競技の2つの競技で競います。総合競技は工作の要素が強く、今年度はボールを転がすための装置を工作用紙等を用いて制作し、課題を解決するという内容でした(詳細は明かせないことになっています)。総合競技については、大会の約2週間前に競技内容が公開されます。公開後は、毎日装置の設計などの練習を続けました。対策を練る際には科学部の先輩にもご協力いただいています。北海道決勝前日にはエモーショナルな激励までいただきました。インフルエンザによる学年閉鎖で満足に練習ができなかったこともあり、1週間前の休日には場所を変えながら、9時から21時まで練習をしたこともありました。前日にはチーム6人全員で北海道神宮へ参詣し、必勝祈願をしました。手水が本当に冷たかったです。この期間、私たちは科学の甲子園に向けて1番頑張ったと自信を持てるほどに、練習を続けました。

 ここまでこの令和7年度大会に全力を懸けているのには理由があります。私たち2年生チームは昨年度もこの大会に出場し、北海道決勝にも出場しました。しかし、結果は12位。決勝大会参加チームの中で最下位でした。そして、先輩のチームは準優勝。惜しくも全国大会出場は叶わず、悔しさで涙を流していました。その涙を見た瞬間、来年は必ず全国大会に行くという思いがより強まりました。

 決勝大会当日は、実技競技と総合競技、それぞれ3人ずつに分かれて競技を行います。

 まず、実技競技に取り組んだ側から大会を振り返ります。実技競技では実験を含む課題に取り組みました。1時間という、およそ実験できるとは思えないほどの短い時間だったので、時間配分が鍵でした。課題のタイトルが発表された時、化学に精通している他の2人は理解した様でしたが、私は分からず焦っていました。しかし競技が始まってからは、「今、この問題に集中すること」を意識したことで冷静さを取り戻すことができました。そして課題を概観し、メンバーそれぞれの長所に合わせて作業を分担し、時間に注意しながら課題を進めていきました。途中、時間が足りなくなるのではという懸念も感じました。しかし、北海道予選を1位で突破した我々札南ができないのなら、時間内に解ききれるチームは少ないだろう、と考え自信をなくさずに自らができる作業に努めました。

 そして長いような、しかし終わってみればあっという間の1時間が終わりました。なんとか全ての課題を終わらせることができ、できることはやりきったと安堵の溜息をつきました。高得点が狙える、という希望を抱いていた一方、他のチームも自分たちと同じくらい得点できたのではないか、という不安もありました。そうであれば総合競技の結果が大きく勝敗に関わる、と気を引き締める思いでした。

 ここからは、総合競技に取り組んだ側から大会を振り返ります。装置の製作はいつも通りうまくいきました。その後、全員から熱い視線を向けられている中で、総合競技の課題が行われます。この課題では、ボールを手から装置にそっと落とすという動作があるのですが、指先の感覚がとにかく重要になります。少しでも感覚が狂えば、課題をクリアすることができません。直前の練習でボールのコントロールはできるようになっていましたが、やはり本番の緊張感は尋常でなく、2つある課題の両方で失敗してしまいました。総合競技の順位は4位。1位のチームとは180点満点中約40点の差をつけられていました。現在、この原稿を書いているのはボールを放った本人なのですが、自分のせいで負けたのだと思ってしまい、かなり絶望しました。実技競技に参加した人は、そんなに差がつかないかもしれないという感想を話していたので、余計に絶望を感じました。

 正直、優勝の可能性はないと絶望している中での結果発表。あの先輩の涙が思い浮かんできました。3位は札南1年生チーム。総合競技では1位の成績を残していて、私たち2年生にとっても非常に嬉しい結果でした。2位は立命館慶祥チーム。私たちは1位と2位がこの2チームだと予想していたので正直混乱していました。それと同時にもしかしたら、優勝があるかもしれないという淡い期待も僅かに感じていました。

 そして優勝チームの発表。私たちのチームの名前が呼ばれた瞬間、安心感、達成感、その他にも様々な感情が込み上げてきました。これまでの科学の甲子園に向けた努力が形になったこと、このメンバーで全国大会という場でまた戦えること、本当に嬉しかったです。
 
 私たちは3月20日から23日につくば市で行われる科学の甲子園全国大会に出場してきます。全国大会は道大会と異なり、1チームの最大人数が8人までとなります。私たちのチームには次年度から科学部を引っ張っていく2人の1年生が加わります。新しいメンバーとも協力し、札南科学部のチームワークを全国に知らしめ、より良い結果を残せるよう全力を尽くしていきます。

 日頃の活動を支えてくださっている顧問の先生方、この大会を主催してくださっている北海道教育委員会の事務局の方々、JSTの方々に心より感謝申し上げます。結びになりますが、この度はこのような機会をいただき、本当にありがとうございました。

札幌南高校 科学部

日常実験、学校祭での演示、高文連での発表、科学の甲子園参加の4つとなっています。日常実験としては、毎年10月に行われる1年間の研究の集大成、高文連に向けての実験を行っています。学校祭では、一般客の方々に向けて、いくつかの実験をお見せしています。また、10月に1次予選、12月に決勝大会のある科学の甲子園では、部員同士協力しあって各地から集まるライバル達と競い合っています。