スウェーデンで南高の話に花が咲くとは…!
山田 純也(南56期)
鎌田真由香(南73期)
鷲津 凱(南74期)
北欧・スウェーデンの首都ストックホルムから北へ約70km。北欧最古の大学と北欧最大の聖堂を抱えるのが、スウェーデン第四の都市、ウプサラです。ウプサラ大学には、毎年30人ほどの留学生が日本からやってきます。偶然にも、現在留学中の3名が六華同窓生ということが判明し、座談会を開催しました。その模様を皆様にお届けします!(2026年1月に実施しました)
――まずは、自己紹介からしましょうか。
鷲津「鷲津凱です。南74期で、立教大学経営学部の2年生です。2025年8月からウプサラ大学に交換留学に来ていて、26年6月までの予定です」
鎌田「鎌田真由香、南73期で、東京大学経済学部の3年生です。同じく1年間の交換留学です」
山田「山田純也、南56期で、2024年9月にウプサラ大学の教育社会学修士課程に正規学生として入学して、2人と同じ26年6月に修了の予定です」
鷲津「今、2年目ってことですよね。4分の3が終わったって感じですか?」
山田「そう、残り半年。2人はちょうど折り返し地点ってところだよね。半年ってあっという間じゃなかった?」
鷲津「本当に。数少ない日本人男子の中で、同い年が1人だけいるんですけど、彼はもともと半年の予定で、数日後には帰国しちゃうから寂しくて」
山田「男子は少ないよね。学年別だと2年生はそこまで多くないのかな?」
鎌田「そうですね。ほとんどが3年生ですね」
――ウプサラでどんな勉強してる?
鷲津「今、授業でやってるのは、企業がどうやって海外に進出していくか、どんな障壁があるか、についてですね。スウェーデンって、そこまで大国なイメージはないけど、世界的な企業が少なくないんですよね。例えば、IKEAとかSpotifyとか」
山田「なんか、競争の激しい分野では勝負できない代わりに、ニッチ産業に集中的に投資することで、それが成長につながってるというのは聞いたことあるよ」
鷲津「ヨーロッパの位置関係で言うと、そこまで中心ってわけでもないのに、不思議だなって。スウェーデンの社会環境とか政策が関係してるのかなっていう興味がありました」
山田「交換留学って、自分の所属している大学の提携校の中から選ぶと思うけど、スウェーデンが第一志望だった?」
鷲津「はい。ウプサラとルンドが選べたけど、応募要件を満たしてたのがウプサラだったので、ウプサラを第一志望で応募しました」
――留学を意識したのって、いつ頃?
鎌田「私は高校生くらいから何となく。大学進学のタイミングで一人暮らしを始めたんですけど、親が転勤で東京に来ることになって、また一緒に住み始めて。自立したいなっていう思いと、もともと頭の中にあった留学というのが重なった気がします」
山田「留学を現実的に考え始めたのはいつ頃?」
鎌田「大学1年生の頃からかな。東大の場合、3年生から学部に配属されるんですけど、成績によって選考があるし、留学も学内選考があるから、いずれにしてもいい成績を維持する必要があって、それを意識しながら授業をとってました」
山田「スウェーデンっていうのは意識してた?」
鎌田「もともと興味があったのが地方創生と社会保障という分野だったんですよ。2年生の夏に経済学部に所属するのが決まって、社会保障系への関心が強くなってきたから、それならやっぱり北欧かなって。特にスウェーデンというわけではなかったけど、他の北欧の国と比べると、スウェーデンの大学が協定校が一番多かったんですよ。他の国はそれぞれ一校くらいしかなくて」
山田「スウェーデンだと、どこが選べたの?」
鎌田「ウプサラとルンド、KTH(王立科学大学)とストックホルム大学ですね」
鷲津「僕は大学受験(国立前期試験)に失敗したことが明確なきっかけですね。できるだけ今までとは違う環境に身を置きたいなっていうのがあって、国立の後期試験の前日に、共通テスト利用で出願してた東京の私大に行こうって決めて、それで立教に入学しました」
鎌田「……なんか劇的!」
鷲津「幼少期から続けていたスキーや受験など、一つの軸だけに対してがむしゃらに頑張ってきたんです。でも、スキーや受験で挫折したときに軸が一つしかないことの危うさを感じました。そこで、異なる価値観に触れながら自分の視野を広げ、新たな軸を築きたいと考え、留学を決意しました。立教に進学したことも、ウプサラに留学したことも正しい選択だったかどうかは分からないけど、正しかったと思えるようにしたいです」
山田「自分も結構前からスウェーデンに行きたいなとは思ってた。それが実現しなかった時間の方が長かったから、諦めるっていう選択肢もあったと思うし、留学も必ずしもうまくいくとは限らない。でも、行かなかったら後悔するかなって思って。それでこの年齢(入学当時36歳)になったけど挑戦しようと思ったんだよね」
鎌田「もともとは何がきっかけで?」
山田「教育実習で南高に来たときに、そのときの生徒会執行部の人たちの取り組みが面白くて、それを題材に卒論を書くことにしたんだよね。生徒会の活動って、執行部の生徒だけが熱心で、トップダウンみたいな感じがあると思うんだけど、本来は生徒の自治組織だから、もっと多くの生徒に積極的に参加してもらって、ボトムアップ型の組織にしたいっていうのが、彼らの目指していたところなんだけど、結果的にはそこまでうまくいかなくて。そのタイミングでスウェーデンの若者の投票率の高さとか、スウェーデンの学校の取り組みの事例とかが気になってきて、実際の環境を見てみたいって思うようになったんだよね」
鎌田「そしたら、スウェーデン以外の国はそこまで…?」
山田「そうだね。出願したのはスウェーデンだけ。修士の場合は、スウェーデン国内で4つまで出願できるから、ウプサラ、ストックホルム、マルメ、ヨーテボリに出願しました」
――留学してみて気付いたことはある?
鎌田「やっぱり太陽の重要さかな(笑)。冬の日照時間が本当に短い。15時とかには真っ暗で…」
鷲津「冬になってからみるみる元気がなくなっていく…。友達がビタミンD欠乏症になってた…」
山田「去年の冬を振り返ってみると、落ち込み気味だったかもと思って、今年はビタミンDのサプリ飲んでみて、効果を検証してみようかなぁって思ってたのに、結局飲まずにきてしまった(笑)」
鷲津「検証してみてほしかったなぁ(笑)。プラセボ効果の可能性もありそうだし」
鎌田「それと、人間の免疫力ってすごいことに気付いて。傷んだご飯とか食べても意外に大丈夫だなって(笑)」
鷲津「野菜、ちょっと酸っぱいかも?って思いながら食べたり…」
山田「加熱すれば大丈夫でしょ、みたいな?(笑)」
鷲津「あと、やっぱりQOLって大事だなと思います。日中にFIKA(コーヒーブレーク)してる人をよく見かけるし。それでも社会が回ってるのが不思議だったりするけど」
山田「でも、若い人は少ないかな?って思う。日本だと、高校生とか大学生がカフェに入り浸ってるのをよく見る気がするけど、スウェーデンでは少ないなって」
鷲津「言われてみたらそうかも」
山田「値段が高いっていうのもあるんだろうけど」
鎌田「ヨーロッパ全体的に物価が高いけど、スウェーデンも高いですよね」
山田「円安も進んでるしね…。今、1クローナ17円とかだからね…。2024年に来たときは14円とかだったのに…」
――奨学金はもらってる?
鎌田「JASSOから月11万円支給されてるけど、家賃でほとんど消えちゃう」
鷲津「業務スーパーの奨学金が月20万円で、ある程度生活できるけど、旅行に行った月とかはギリギリの生活に…」
山田「大学の入学が決まったのが3月で、その時点で応募できるものがほとんどなくて。それに、年齢制限もあったりして。修士の正規学生向けに利用しやすい奨学金が増えてほしいなっていうのが心の叫び…」
鎌田「それは大変そう…」
山田「入学してから申請できたものもあって、それで少し助かったかな。そのうちの1つが札幌南グローバルスカラーシップで、札南の在校生・卒業生の留学支援を目的として、去年(2025年)設立されたみたいなんだけど、一時金として50万円支給してもらって、学費の足しにできてありがたかった」
鷲津「日本と比べて学費は高いんですか?」
山田「大学やプログラムにもよるんだけど、日本とそこまで変わらないかも? でも、今まで半年で50,000クローナ(約850,000円)だったのが、2026年の秋から7,000クローナ(約120,000円)値上げするらしくて、一気に上げすぎじゃない?っていう…」
――日常の決済ってどうしてる? スウェーデンはキャッシュレス社会だけど。
鷲津「日本のクレジットカードを使ってますね。すごくレート悪いけど」
山田「Swish(スウェーデンで流通しているQRコード決済システム)が使えないの、大変じゃない?」
鎌田「普段はそこまで困らないけど、クリスマスマーケットとかでは、Swishか現金しか使えなかったりするのが…」
鷲津「お店の会員登録するのにBankID(銀行によるオンライン認証システム)が必要だったりして、あったら割引が使えるのに、あれはつらかった…」
山田「銀行口座を開くためには、1年以上滞在しないといけないもんね…。口座開設するのも一苦労だったよ」
鷲津「BankIDには苦しめられたな。あれがないとスウェーデンで生活するのは大変」
山田「Swishの話題って、日本でも取り上げられることがあるけど、誰でも使えるわけではないっていうのが落とし穴だよね…。(Swishの利用にもBankIDが必須)」
鷲津「BankIDが力を持ち過ぎな感じはしますね」
山田「そうそう。銀行口座を開設できなくてもいいから、せめてBankIDだけでも持たせてくれって何度思ったことか…」
――留学期間について
鷲津「半年と1年で迷うことはなかったですか?」
鎌田「迷わなかった。私の父が『かわいい子には旅をさせよ』という人で、1年行けるなら行ってこいって背中を押されて。半年だったら何も分からないまま帰ってくることになりそうだなぁっていうのもありました」
鷲津「僕も半年と1年で選べたけど、英語の能力を伸ばすには半年だと短いかなって思って。今ちょうど半年だけど、日常会話の部分は成長したかなって思う反面、アカデミックな英語はまだまだって感じですね」
山田「そういえば、日本の留学生事情についてちょっと調べたことがあったんだけど、日本の定義だと、半年の留学って長期留学の扱いになるらしくって。『1ヶ月未満の短期留学が~』みたいな表現とかも出てきて…」
鷲津「1ヶ月だと環境に慣れ始める前に終わってしまいそうですね」
鎌田「海外生活の苦労は感じられなさそうだよね」
山田「2年間留学してる立場から言わせてもらうと、半年でも短期留学って思ってしまう…」
鷲津「コミュニケーションの話でいうと、英語を話せないと、自分のパーソナリティを理解してもらえない感覚があって、ジョークとか言っても、面白さが伝わらなかったり(笑)」
山田「日本語だったら、もっと喋るのに、英語だと黙ってることが多いかも(苦笑)。でも、同じ日本人でも積極的にコミュニケーションとってる人を見ると、見習わないとなぁ、と思うよね」
鷲津「それと、日本人留学生のコミュニティには助けられましたね」
山田「留学あるあるとして、日本人同士で過ごしがちで、留学の意味があまりなかったというのを聞くけど、ウプサラの場合、ちょうどいい距離感かなって思う。緩いつながりで、たまにみんなで集まることもあるし、情報交換もするけど、いつも一緒にいるわけではないっていう」
鎌田「交換留学生と正規学生合わせて30人くらいで、規模感としてもちょうどいいかな。もっと少ないと思ってたけど(笑)」
鷲津「まさかその中に札南出身が3人いるとは思いもしなかったな(笑)」
――ホームシックにならない?
鷲津「ちょうど今日(この座談会当日)、成人の日で、みんな同窓会やってるんですよ。SNSに写真がどんどん上がってきて、今まで帰りたいとか全然思わなかったけど、急に帰りたいというか、みんなに会いたかったなって思いました」
鎌田「この時間(スウェーデンの夕方頃)だと、二次会、三次会と行ってるんじゃない?」
鷲津「成人式で久しぶりに同級生に会えるだろうなって、心のどこかで思ってたところがあるから、ちょっと複雑ですね。その代わりじゃないけど、昨日、二十歳の日本人学生同士で、大聖堂で写真を撮りました。さっき3人で撮ったのと同じアングルで(笑)。このタイミングで留学に来てたからこそなので、これも一つの思い出かな。でも、やっぱり、次に会えるのはいつだろうって考えちゃいますね。札南だと、卒業から25年で集まるんですよね? そのときかなぁ?」
山田「そうそう、六華同窓会の総会・懇親会が10月にあって、幹事をするのがその世代なんだよね」
鎌田「六華ゼミも確かその世代じゃないですか?」
山田「そうそう、ちょうど25年前の総会幹事期の人たちが、在校生に何か還元したいって始めたプロジェクトみたいなんだよね。こないだ、文科相表彰受けたらしいよ」
鎌田「純也さん、何年後ですか?」
山田「もう5年後とかかな…」
鷲津「ぜひそのときに、ウプサラの話をしてほしいなぁ」
山田「まずは同期に、こいつに話してもらおうって思ってもらわないとね(笑)」
――日本に帰るまでにやりたいことは?
山田「4月にValborg(ヴァルボリ)っていう、春を祝う祭りみたいなのがあって、その中で、ウプサラ市内を流れるフィリス川を手作りボートで下るイベントがあるんだよね。去年は見てただけだったから、今年はメンバー募って参加してみたいなって思ってる」
鎌田「私はヨーロッパの国、全部まわりたい!」
鷲津「すでに結構行ってますよね? 今まで行ったところだと、どこがお気に入りですか?」
鎌田「バルセロナかなぁ。サグラダファミリアは人生で一回は行った方がいいと思う」
山田「ウプサラ大聖堂も北欧最大らしいけど、規模感でいうとどれくらいなの?」
鎌田「大きさは圧倒的にサグラダファミリアの方が大きくて、とにかく雄大という感じ。一方で、ウプサラ大聖堂は大きさの中にも精巧さがあるというか…」
鷲津「国内はどこか旅行しました?」
山田「旅行というほど長くは滞在してないけど、ストックホルムは電車で1時間くらいだから何回か行ってる。あと、ルンド(南西部。コペンハーゲンに近い)と、こないだイェーブレっていう、ウプサラから北に1時間くらいのところに行ってきた」
鷲津「ユールヤギのところ? 毎年クリスマス前には燃えてなくなるという…」
山田「そうそう(笑)」
――留学後の展望について
山田「正直、現状ノープランなんだよね…。スウェーデンに来る前は、こっちで研究職を続けるのも視野に入れてたけど、自分には向いてないかもって思い始めて。だから、日本に戻ろうとは思ってるけど、じゃあ帰国してどうしようってなると、それもあまりイメージできてなくて…」
鎌田「業界とかはまだ決めてないけど、転勤がある方がいいなって思ってて。日本国内もそうだけど、海外駐在もしてみたくて、そういうのが可能なところに勤めたいなぁって思ってます」
鷲津「僕も父が転勤族っていうのもあって、転勤のある仕事の方がいいなって思ってます。海外駐在もしてみたいけど、ベースは日本に置きたいですね」
山田「スウェーデンで暮らしてみると、日本ってすごく暮らしやすいところだなっていうのは確かに感じたな。あと、日本に来てる外国人はもっと苦労してるんだろうなっていうのは思ったね…」
鷲津「世界中からすれば、スウェーデンも暮らしやすい場所だと思うけど、それでも日本との違いが気になったりするし。わがままな話ですけど(笑)」
山田「キャリアプランの中で、留学の経験を生かしたいって思う?」
鷲津「直接関係なくても、いい影響はあるかなって思います。こうやって一度海外生活を経験してるから、海外駐在に対しても前向きになれるかなって」
鎌田「最近、海外経験のある人の採用枠を設けてる企業とかもあるみたいで、そういう可能性も広がるかなって思ってます」
山田「日系がいいとか、外資がいいとかある?」
鎌田「日系の方が想像しやすいっていうのはありますね。ビビりなんで、いきなり外資に飛び込むのはちょっと勇気がいるかも」
鷲津「ビビりな人が留学に来るって矛盾してるような(笑)」
――最後に、今日の話をまとめましょう。
鷲津「こうして、札幌南高の縁で集まれたのはよかったなぁって思ってます」
鎌田「ウプサラで南高の話ができるとは思ってもみませんでした」
鷲津「やばそうな話題はカットしてくださいね(笑)」
山田「それはもちろん(笑)。凱くん全然喋ってないな、みたいになったらごめんね(笑)」
鷲津「それは…(笑)」
鎌田「日本に戻ってからも、こうやってウプサラの話をしたいですね!」

南56期。小樽商科大学を経て、埼玉大学教養学部卒業。松山丈史道議(南42期)事務所勤務の後、2024年9月からウプサラ大学教育社会学修士課程に在学中。

南73期。2023年から東京大学に在学中。2025年より経済学部経済学科所属。2025年9月からウプサラ大学に交換留学。

南74期。2024年から立教大学国際経営学部に在学中。2025年8月からウプサラ大学経営学科に交換留学。

ウプサラ大学(写真は大講堂を擁する本館)
1477年建学。北欧最古の大学とされる。神学、法学、歴史・哲学、言語学、社会科学、教育科学、医学、薬学、理工学の学部を擁する総合大学。https://www.uu.se/en








第108号 の記事
2026年3月1日発行