六華だより

共に挑んだ最後の夏

第105号

塩野豊寛(札幌南高校3年・男子硬式テニス部)
塩野豊輝(札幌南高校1年・男子硬式テニス部)

 今年のインターハイ、私は弟と共にダブルスで挑み、ベスト16という結果を残しました。この結果は、私たち兄弟にとって大きな意味を持つものでした。幼いころから一緒にラケットを握り続けてきた私たちが、全国の舞台で力を発揮し、多くの強敵に立ち向かったことは、かけがえのない経験です。

  私がテニスを始めたのは小学校3年生の時でした。その時、小学校1年生だった弟も私の影響で自然とラケットを手にし、一緒にボールを打ち合うようになりました。最初は遊びのようなものでしたが、次第に本格的にテニスに取り組むようになり、気づけば毎日がテニス一色の生活となっていました。

  高校に入ってから、私たち兄弟は本格的に全国大会出場を目指すようになりました。弟は、私よりも俊敏でストローク力に優れており、私はその分、強力なサーブとネットプレーで攻めることを得意としています。この違いをうまく活かすことで、ペアとしての強みを築いていきました。

  また、練習では特にダブルスの頭脳に磨きをかけました。ダブルスでは、個々の特性だけでなく、戦術の組み立てが試合の鍵を握ります。どのタイミングで前に詰め、どの瞬間に守りに徹するか。その判断は、相手の動きや自分のその日の体調、さらにはコート条件など、様々な要因が複雑に絡み合って決まります。試合中、頭を常に働かせても疲れないように日々の練習試合から周りを観察、そして分析し、最適な戦術が組めるよう努力しました。

  しかし、全てが順調に進むわけではありませんでした。時にはお互いに意見がぶつかり、試合中に焦りや苛立ちを感じることもありました。それでもお互いがお互いを気遣うことを覚え、人として互いに1歩成長出来たこと、それが2人ダブルスを強くしたのだと感じます。この進歩が功を奏し、無事北海道大会を優勝し、全国への出場権を勝ち取ることができました。

  そしていよいよ迎えたインターハイ当日。全国から集まった強豪たちの迫力に圧倒される中で、私たちは自分たちのプレーを貫こうと心に決めました。弟とは、「楽しもう」とだけ話し、コートに立ちました。

  初戦は比較的緊張がありましたが、徐々にペースを掴み、息の合った連携で見事に勝利しました。特に弟のサーブが冴え渡り、相手はリターンで体勢を崩す場面が多く見られました。私はそれに合わせてネット前でしっかりとポイントを取ることができ、順調に試合を進めていきました。

  2回戦、3回戦と進むにつれ、相手のレベルも格段に上がり、厳しいラリーが続く試合展開になりました。特に3回戦では、相手のペアは全国でも屈指の強豪であり、非常に速いテンポでプレーが展開されました。弟と私は何度も粘り強くボールを拾い、チャンスをうかがいましたが、最後の決定力で一歩及ばず、惜しくも敗北を喫しました。それでも、お互いに全力を尽くしたことに悔いはなく、ベスト16という結果を胸に誇りを感じます。

  この大会を通して、私たちは何よりも「共に戦う」という意味を深く実感しました。北海道から応援してくれている部活動や学校の仲間、1番そばで支えてくれた保護者の方々、そして誰よりも部員の事を想ってくださった顧問の田中先生、小川原先生、多くの方々の応援が力となり、戦い抜くことが出来ました。皆様に心より感謝申し上げます。

  部活動の仲間と共にすごした日々の練習は、技術面だけでなく精神面でも成長を促しました。お互いに励まし合い、失敗を乗り越えてきた経験は、今後の人生においても大きな財産となるのだと感じます。今回のインターハイ、そして3年間の部活動で得た教訓を生かし、次のステージで新たな挑戦を続けたいと思います。今後とも、札南テニス部の活躍を温かく見守っていただけると幸いです。また、コートの修繕に詳しい方もいらっしゃいましたらご連絡いただけると幸いです。

右が兄豊寛 左弟豊輝