六華だより

【追悼】 小砂憲一元会長を偲ぶ

第109号

秋山 孝二(南19期)

 六華同窓会元会長の小砂憲一(南15期)さんが、2026年7月6日に79歳にてご逝去されました。突然の悲報に接し、同窓生を代表し故人の生前のご功績を偲び心から哀悼の意を捧げます。

 小砂さんは、2013年から2019年までの3期6年にわたり、六華同窓会会長を全うされました。その在任期間は、私が幹事長を務めていた期間と重複していて、まさに同窓会が新しい時代へと脱皮するための「変革と基盤整備」の時代でした。前任の故近藤龍夫会長が北海道経済連合会の会長時代に、バイオテクノロジー産業の先駆者の小砂さんが副会長として支えられていた関係から、ご自身の後継として強く小砂さんを六華同窓会会長に推されていました。同時にこの時、鶴雅クループ代表の大西雅之(南24期)さんが副会長に加わり、経済界から2名の民間経営者の新たなご就任で同窓会運営も一層強化されました。

 私は小砂さんとはかなり以前から(株)アミノアップ化学の代表者としてお付き合いしていましたが、ここでは同窓会会長にご就任後の主な思い出を振り返ります。

 先ずは2013年4月の「エコ新棟」の見学です。札幌市清田区のご本社・工場は大変ユニークで、札幌南高学校林にも近接しています。2011年9月に70の環境技術を駆使した究極のエコ本社家屋が完成し、地中熱の利用、省エネルギーシステム、雪・雨の利用、地産地消、太陽熱の利用で自然エネルギーを最大限に活かすことで、CO2の50%削減などの高い環境負荷削減を目標としていました。更には、オードリー・ヘプバーン、チャーリー・チャップリン、マリリン・モンロー等、これまで社会に多大な影響を残した歴史上の人物の等身大像が建物内の随所に配置されていて、小砂さんの遊び心に経営者としての余裕を感じました。旺盛な研究開発への意欲と実績、特に世界的な機能性健康食品(オリゴノール・AHCC)の開発で、イギリスのあの科学ジャーナル『NATURE』にも記事広告掲載された一方、このようにウイットに富んだ小砂さんのお人柄、昔に初めてお会いした時のいたずらっぽいお姿は変わらずご健在でした。「究極のエコ」って、その神髄はこのような「楽しさ」と「心地よさ」なのかと、小砂さんはそうおっしゃりたかったのだと私は勝手に解釈していました。
* AHCCとは|アミノアップ 健康食品原料メーカー

 もう一つは、2015年の「札南高特別事業」として、現役高校生を含めた本社見学研修会をこのエコ新棟で、この年の同窓会幹事当番期が企画した時のことです。50名を越える参加者で、当日は冒頭に小砂さんの高校時代の人となりの一端が南15期の同期生から紹介され、「静修高校屋上ステテコ事件」ほか、数々の「武勇伝!」に集まった後輩たちは驚き、笑っていました、まさに六華らしさの面目躍如といった感じでした。当日のお話は、オリゴノール・AHCCの開発、地元北海道出身の芸術家の応援といった社会貢献活動、エネルギーチェンジの実践の「見える化」、そして芸術の香りいっぱいのロビー等、高校の教頭・教諭はじめ幅広い世代が小砂さんのお話を真剣に聞き、質疑応答も活発でした。テストの成績など関係なく、世界へ羽ばたけとの激励メッセージは、参加者にとって大変力強く心に響き、同窓の縦糸が現役高校生の勇気に繋がってくれたと思います。

 以上は私自身の心に残る景色ですが、小砂さんの任期全般を通じてのご功績の最たる成果は、前任の近藤会長時代に始めた同窓会改革活動「財政検討委員会」のステップアップした「六華未来プロジェクト」を強力に推進したことでしょう。同窓会活動の持続可能性を高めるため、財政の健全化や組織運営の見直しに民間経営者としての切れ味のいいアドバイスを頂いた一方、時代の変化をいち早く捉え、2018年には同窓会ウェブサイトをスマートフォン対応へと刷新し、同時にセキュリティを向上させるなど、若い世代が同窓会活動にアクセスしやすい環境を構築されたことも企業経営に裏付けされての為せる業でした。

 更に小砂さんのご功績として忘れてはならないことは、世界各国の研究機関とのネットワークを構築された手腕であり、それは札南高が掲げる「堅忍不抜・自主自立」を体現するものです。多忙を極めるビジネスの最前線に身を置きながらも、小砂さんは六華同窓会のため、そして未来を担う後輩たちのために、常に時間と情熱を惜しみなく注いで頂きました。六華同窓会総会や懇親会の場だけでなく、東京六華同窓会総会・懇親会でも壇上から力強く、かつユーモアを交えた言葉で参加した同窓生を鼓舞し、時には一線を越えるご発言もありましたが会場の空気を一瞬にして温かく、一体感のあるものへと変えてしまう不思議な魅力をお持ちでした。6年間の任期を満了して、後任の会長には大西雅之副会長へバトンを託され、顧問に退かれてからも六華同窓会への愛情は変わらずご助言を頂きました。

 これまでの永きにわたる多大なるご貢献と、同窓生に寄せられた情熱に心より感謝申し上げます。残されたご遺族の皆様に深くお悔やみを申し上げますとともに、小砂憲一先輩のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

秋山孝二(あきやま こうじ)

1951年 札幌市生まれ

(公財)秋山記念生命科学振興財団 理事長
六華同窓会では、古川善雄(南8期)さんの後任として幹事長に、その後副会長を経て役員選考委員長に就任
(一財)北海道札幌南高等学校林では、理事、常任理事を経て、2014年理事長に就任し現在に至る